鉄道博物館【てっぱく】大宮の鉄道屋内展示~貴重な鉄道記念物をご紹介

大宮の鉄道博物館

北海道から九州まで、鉄道展示施設をご紹介していますが、肝心の大宮にある鉄道博物館(てっぱく)が、抜けていましたので、記事として追加してみます。
大宮の鉄道博物館は、東日本旅客鉄道(JR東日本)が主体となって、2007年に開館した日本の鉄道に関する博物館です。
総工費は124億円、うち、さいたま市が25億円・JR貨物が1億円を負担しました。
秋葉原にあった交通博物館が2006年に閉館し、その展示内容の多くも、引き継いでいます。

鉄道博物館

大宮の鉄道博物館がある場所は、大宮総合車両センターの、廃車車両解体など行っていた一角に、建設されました。
<注釈> 廃車業務は、現在、長野総合車両センターとなっている。
一部は、JRの線路と繋がっており、展示車両の入れ替えを、線路から、行う事も可能になっています。


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鉄道博物館では、貴重な車両が、たくさん展示されています。
どれも、価値ある陳列なのですが、その中でも、大変な貴重な鉄道車両である「鉄道記念物」「準鉄道記念物」「国の重要文化財」に絞って、集中的にご紹介させて頂きます。

150号蒸気機関車(1号機関車)

150号蒸気機関車(1号機関車)は、鉄道記念物・国指定重要文化財となっています。
国鉄150形蒸気機関車の1号機関車は、1872年(明治5年)に、新橋~横浜間として、日本で最初の鉄道が開業した際に、イギリスから10両輸入した際の、日本に一番最初に届いた蒸気機関車です。
しかし、あまり運用には適していなかったようで、その後、何度も改造されているため、当初の原型は、留めていません。
明治44年からは島原鉄道で使われていましたが、昭和5年から鉄道省にて保存することになり、現在に至ります。
ともあれ、日本で初めて営業運転した際の、蒸気機関車として、大変、貴重な鉄道遺産です。

150号蒸気機関車(1号機関車)

ちなみに、5号機関車(A7)国鉄160形蒸気機関車は、博物館明治村にて動態展示されており、現役で走行しています。
7号機関車(A3)は、台湾の国立台北博物館。
10号機関車(A2)国鉄110形蒸気機関車は、JR桜木町駅の旧横濱鉄道歴史展示「旧横ギャラリー」にて、2020年6月より展示開始されています。

ナデ6141号電車

ナデ6141号電車は、大正初期に製造された木造電車であり、鉄道記念物・国指定重要文化財になっています。
かつては、中央線・山手線などで活躍していました。

ナデ6141号電車

今では、木造の電車が、製造されることはありません。
理由としては、火災が発生すると、木造だと、燃えやすく、かつて、車両火災で亡くなってしまう方もおられたからですね。

御料車

1号御料車(初代)は、鉄道記念物・国の重要文化財。
2号御料車(初代)、7号御料車、9号御料車、10号御料車、12号御料車が鉄道記念物となっており、大宮ではガラスにて遮られた状態で、大切に保存・展示されています。

御料車

初代の御料車は、京都~阪神間の鉄道が開業した明治9年に、明治天皇が乗車するために、製造された最初の御料車となります。
ちなみに、5号御料車・6号御料車は、明治村にあります。
次に大変貴重なのは、下記の電気機関車です。

ED40 10号 直流電気機関車

ED40 10号 直流電気機関車は、準鉄道記念物・国指定重要文化財となっています。
このED40形は、国鉄で最初の国産電気機関車で、蒸気機関車に代わって、大正8年から、信越本線・横川駅~軽井沢駅間の難所・碓氷峠のアプト式区間にて、使われました。
アプト式での最高速度は、時速18kmとなります。

ED40 10号

運転台が片方にしかなく、坂下側(横川側)に運転台があるようにして運用されていたとの事です。
この10号機は、最後、東武鉄道で活躍していました。

1292号蒸気機関車「善光」

1292号蒸気機関車「善光」は、鉄道記念物に指定されています。
善光号は、1881年(明治14年)に鉄道建設工事用としてイギリスから輸入した蒸気機関車で、当時、民営の日本鉄道が、長野県の善光寺の裏で、組立したため「善光号」と名付けられました。

1292号蒸気機関車「善光」

その後も、日本各地での鉄道建設工事用機関車として活躍し、大正12年に廃車となりましたが、大切に保存されてきたSLです。

7101号蒸気機関車「弁慶」

7101号蒸気機関車「弁慶」は、1880年(明治13年)に、北海道初の鉄道・官営幌内鉄道が開業する際に、アメリカから輸入された蒸気機関車のひとつで、鉄道記念物となっています。
大宮の鉄道博物館では、3番目に古い展示車両です。

7101号蒸気機関車「弁慶」

なお、同じく幌内鉄道鉄道開業時に輸入された、アメリカの古典的スタイルの機関車7100形8両のうち、あとの2両が現存しています。
京都の梅小路蒸気機関車館で7105「義經」、小樽の小樽市総合博物館では6号「しずか」が、大切に展示されています。

コトク5010形客車(開拓使号)

コトク5010形客車(開拓使号)は。幌内鉄道の開業に際して輸入された客車で、鉄道記念物となっています。
前後にデッキ、車内は中央通路を持つアメリカ式のボギー客車です。
ただし、一般乗客が乗れる客車ではなく、開拓使長官など政府役人の専用客車として使用された模様です。

コトク5010形客車

特別客車と言う事で、飲料水タンク、洋式便所、ストーブもあり、最新技術の空気ブレーキも採用され、乗り心地も良い客車です。
幌内鉄道の開業時では、8両の客車のうちのひとつと言う事になります。

EF55 1号 直流電気機関車

EF55形は、1936年(昭和11年)に製造された電気機関車で、同型が3両製造されたうちの、1号車となり、準鉄道記念物に指定されています。
最高運転速度は、95km/hで、東海道本線の特急「つばめ」「富士」をけん引しました。
なお、流線形が採用されていますが、たった95kmでは、ほとんど意味がありません。

EF55 1号

ともあれ、当時は、SLも流線形にするなど、早いと言うイメージを与えるためか?、はやっていたデザインでした。
そのため、電気機関車にも、関わらず、片側運転台であり、転車台で方向転換が必要で、転車台上に架線を張る必要もあり、運用も不便で、3機で製造が打ち切られました。
1964年(昭和39年)に廃車となり、中央鉄道学園に静態保存されていました。


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しかし、1986年(昭和61年)に大宮工場で復元されると、動態展示用に、動くこともできるようになり、自動列車停止装置(ATS-P)もセットされています。
このように、廃車となった電気機関車が、臨時運転などで復活しましたが、2009年、さよなら運転となり、2015年から鉄道博物館で展示されています。
なお、外部線路から繋がる、屋内展示に付き、状況により、他の車両と展示交代となる場合があります。

筑波鉄道キハ461号 (キハ41300形気動車)

大宮の鉄道博物館では、気動車の展示が少ないので、オマケとして、国鉄キハ04形を最後にご紹介させて頂きますこと、お許し願います。
国鉄キハ04形気動車は、ローカル線向けに量産された16m級気動車で、昭和11年までに138両生産されました。
戦後は、ディーゼルエンジン・液体式に換装され、昭和30年代以降は、私鉄などへの譲渡が行われました。
このキハ41307は、小海線などで活躍し、1958年に廃車となったあと、遠州鉄道、北陸鉄道・能登線を経て、1972年(昭和47年)に関東鉄道・筑波線(筑波鉄道)に入線した車両です。

筑波鉄道キハ461号 (キハ41300形気動車)

当時、筑波鉄道では、キハ461・キハ462と2両ありました。
筑波鉄道が1987年(昭和62年)4月1日 に全線廃止(廃線)となると、東京の愛好家団体「LINER」が購入し、約250万円かけて保存。
その後、キハ048保存会が修復するなどし、大宮の鉄道博物館が開館した際に、東日本鉄道文化財団に寄贈されたと言う、一般市民が大切に守ってきた、大変貴重な気動車です。
実は、小生も、小学生の頃に、このキハ04形に、筑波線で、乗車したことがあります。
昭和58年頃からは、真鍋駅の待避線にて、野外放置されて、ボロボロだったのを、思い出します。
現在の展示では、旧国鉄色になってしまっていますが、いつか、生きている間に「筑波色」(関鉄色)で拝見できる機会があると、良いなと感じております。

鉄道ジオラマ

鉄道博物館では、HOゲージの鉄道ジオラマがあり、入れ替え制などで、プログラム運転されます。
ずっと、歩いて見学していると、疲れてしまいますので、休憩がてら、鉄道模型の見学もできると良いです。

大宮の鉄道博物館

当日、館内で、時間を確認してみください。
見学は、追加料金、かかりません。


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交通アクセス

大宮(さいたま市)の鉄道博物館への交通アクセス・行き方ですが、ニューシャトル「鉄道博物館駅」の改札を出て、まっすぐ進み、徒歩1分で右側となります。
駐車場は、近隣の有料駐車場利用で、博物館の専用駐車場のほうが、少し高いので、コインパーキングから埋まるような感じです。
新型コロナの感染拡大防止では、チケットが事前購入制となっていますので、ご注意願います。

日本の「鉄道の父」井上勝(野村弥吉)に関してはこちら
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