緩急車(かんきゅうしゃ)とは、列車の制動装置(ブレーキ装置)を備えた車両と言う事になります。
そもそも、蒸気機関車が発明されてから、列車は機関車の動力とブレーキに頼って、運行されており、客車・貨車などにはブレーキ装置はありませんでした。
しかし、徐々にSL機関車の性能が向上してくると、長い編成の貨物列車や旅客列車の運転ができるようになってきます。
そうなると、列車全体の重さも増えたことから、機関車のブレーキだけでは十分に減速しにくくなり、特に下り坂や緊急ブレーキでは大きな影響が出るじたいとなりました。
そのため、列車全体にブレーキを掛けられるように、旅客列車では、客車の一部スペースに制動手が乗車し、手動でブレーキを操作する装置を取り付けるようになりました。
しかし、貨物列車において、それぞれの貨物車にブレーキ係を配置するし人材面でも大変なため、貨物列車の最後尾に連結させる、ブレーキ専用車両として「緩急車」がもうけられるようになりました。
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ただし、客車でブレーキ装置が無い古い車両が多い編成では、荷物緩急車など、荷物車両にブレーキをつけることで対応した場合もあります。
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日本では明治時代の末期で758両の緩急車があったと言います。
大正時代からは空気ブレーキが普及しはじめ、機関車から空気により制御のブレーキ方式によって、貫通ブレーキの使用ができるようになり、緩急車は車掌弁を備えた車掌室の貨車と変わりました。
そして、貨物の車掌の任務としては、踏切事故などが発生して列車が停車した際などに、後方の防護などに変わりました。
しかし、列車無線などが整備されたことで、1985年3月14日の国鉄ダイヤ改正から、貨物列車の緩急車・車掌車の連結は廃止となっています。
なお、客車寝台特急「ブルートレイン」として誕生することになった、国鉄20系客車では、2等寝台緩急車が製造されています。
基本のB寝台車はオハネ24形で、寝台客車のすべてにブレーキがついていましたが、車掌が乗務するスペースと車掌弁がある車両はオハネフ24形となり、最後尾に連結されました。
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この車掌が乗務するスペースと車掌弁がある客車は記号「フ」を付けられ、緩急車と呼ばれたと言う事になります。
そのため、SL用の客車でも緩急車が存在することがあります。
例えば下記のオハユニ61形ですね。
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車掌弁とは、車掌が操作する非常ブレーキの事を言います。
排気弁を開くとブレーキ管内の圧縮空気がいっきに抜けて、一番強いブレーキがかかる仕組みです。
車掌弁は、乗務員室の天井から「ヒモ」が垂れているのが通例です。
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