KATOなどの新製品「スロットレスモーター」強力磁力によるTOMIXポイントの誤作動(転換)影響を検証し改善した方法

スロットレスモーター強力磁石影響

スロットレスモーター強力磁石影響

KYOの駅(レンタルレイアウト店)のオーナー様から話を伺ったのですが、KATOの新しい動力車に組み込まれることがあるKATOが新採用したスロットレスモーター動力車だと、TOMIXのポイント(分岐器)が通過時に動くことがあると言う話。
これからKYOの駅でのレイアウト設計も行う段階の為、相模原鉄道模型クラブで該当車両をお持ちのメンバー様に協力して頂き、緊急検証してみた。

まず「スロットレスモーター」とはなんぞや?だが、従来のフライホイール付モーターが苦手としていた低速走行を可能とした小型モーターのことを言う。
調べてみると2022年7月頃よりKATOのスロットレスモーターで、TOMIXポイントが動く?と言う話が出ているのだ。

具体的にはKATOの683系2000番代、E129系、683系4000番台、300系新幹線などのM車が該当するようだ。


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まずこのポイントが勝手に動作する現象は、KATOのスロットレスモーター動力車が、トミックスのポイントを通過する際に発生するもので、KATOのポイントでは問題ない。
正確に申し上げるとKATOのポイントでも影響を受けるのだが、深刻な状態までにはなりにくいと言える。

モーターの説明に磁力が強いからポイントでなんらかの影響がありますと書いてあるらしい。
TOMIXのポイントには磁石の板が影響を受けやすい状態で組み込まれているため、強力な磁場が生じているスロットレスモーターがポイントの上を通過する際に磁力で切換わる問題が生じる可能性があると言う事になるのだろう。
もちろん、モーターに組み込まれている磁力の向きにもよる。

実際にはKATOだけでなく、グリーンマックスやポポンテッタのスロットレスモーター車の一部でも磁力が強くTOMIXポイントが動いてしまうことがある。
ポポンでは後日、車両の底に貼る補修パーツが配られたこともある。

そのためKATOの該当車両の底に磁石を弱めるよう板を施すなど、車両側に対策を講じるの一番有効と言えよう。
しかし、この記事ではトミックスのポイント側で対策ができないか?検証してみることにした。

まず、TOMIXのNゲージ・ポイントをジオラマなどで使用する場合、3通りの設置方法が考えられる。

(1) 電動ポイント
(2) 手動ポイント
(3) 底無ポイント

以上の3パターンが考えられる。
(3)の「底無ポイント」と言うのは、電動ユニットを外して、そのユニット部分に空間ができてしまうこと、カバーなしの状態を言うとご理解願いたい。(手動ポイントのダミー・ユニットをはめてない状態)

まず、この(3)からポイント状態は、ポイントの線路を固定させる力が及ばないので、スロットレスモーターの磁力が近づくと、トミックス・ポイントの底にある磁石と干渉し、ポイントが勝手に動作してしまう可能性が高い。
そもそも、永久磁石はポイントの本隊側についているので影響に変化がないとも考えられるが、もしかしたらユニットの違いで差があるかも?知れない。
と言う事で、確実性を高めるため、電動ポイントの状態、手動ポイントの状態など、いくつかのパターンで検証・テストしてみた。
その結果は下記の通り。

テスト状況スロットレス
モーター車
電動ポイント
電動ユニットなし
底なし
NG
電動ポイント
電動ユニットあり
通電なし
NG
電動ポイント
電動ユニットあり
通電あり
NG
手動ポイント
ダミーユニット無
底なし
NG
手動ポイント
ダミーユニット有
NG
手動ポイント
磁石抜いた
OK

上記の結果から、電動ポイント・手動ポイント、電動の通電あり状態・通電ナシ状態関係なくNGだった。
それだったらと、手動ポイントから「磁石」を撤去(はずした)状態にてTOMIXポイントを運用すれば「OK」と言う結果を得られた。

スロットレスモーター強力磁石影響

手動ポイント磁石の外し方だが、裏側から磁石をはめているだけなのでレバーを折らないように軽く隙間を空けて、磁石部分をピンセットなどで押すと抜ける。
コツさえつかめば数秒でできる作業だ。
ただ、抑えが効かないので、ピシっとポイントが切り替わっていない状態(切り替え不良)になりやすいのがデメリットとなる。
当然、電動ポイントとして使う事が出来ないので、ジオラマの設計上、手が届かない場所にポイントがあるようなケースでは対策の取りようがない。
しかし、手動ポイントとしては、ポイントの磁石を取ることで簡単に対処できると言える。
ただし、このような改良は「自己責任」のためご理解願いたい。

下記は検証結果と解決策を具体的に録画した動画。

GM-3モーターではこんな対応は不要なため、スロットレスモーターの影響であることは明らかだ。

以上の検証結果は、あくまでも当方のテスト環境での状況であり、皆様の運用状況、線路の是後に傾斜があったりモーター車の車高が低かったり・高いだけでなく、カプラーの影響など、個々の状況にて大丈夫な場合、ダメな場合と様々な結果を生むのは言うまでもない。
このあたりは1/150スケールと言う鉄道「模型」なので、勝手にポイントが切り替わる程度で文句を言っても仕方がない。
模型と言う趣味を充分に理解して、レンタルレイアウト店なども利用して頂きたいところだ。


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もし、レイアウト設計を行うのであれば、KATOのスロットレスモーターを使っていなくても、そもそもポイントがうまく動作しなかったりポイントで脱線することはある。
よって、レイアウト上、一番理想なのは「分岐しない進行方向でポイントに進入させる」(スプリングポイント式にポイントを配置する)のが一番の対策となる。
高田の集合式ジオラマにおいては、走行安定性を最重要視しているため、進行をポイントで分岐させるような配置にはしていない(ポンイトは走行方向へ合流するよう設計している)
リアルさや情景を重視するのか?、走行性を重視するのかはレイアウトを考える方次第なので、どちらを優先したのか、その思いは十分に理解を示したいところだ。

なお、メーカーも自社の製品が他社のレールで走行することは当然認識している訳であり、それぞれ恩恵を受ける共通のNゲージ規格として販売している以上、どんなレールやポイントでも車両でも問題ない製品を世の中に出して頂きたいと強く感じる。
振子機能付き車両が、特定のカーブ条件で脱線しやすかったりするのも、この磁力影響と同様なことが言える。
模型としてディテールはとても素晴らしいのだが、これまでのモーターは大丈夫だったのに、新型のスロットレスモーターでは問題が発生すると言う事は、とうてい容認できない。
すなわち消費者の立場に立っていない。
TOMIXさんも磁石など簡単に影響を受けにくい新機構のポイントにしたり、KATOさんなどの車両側としてもそんな強力な磁石を使わない、使うのであればきちんと磁気対策を施すなどの工夫が欲しい。

車輛がくっつく

磁石の影響なので複線などの並行線でも異常が起こる可能性があると考えたみるとやはりそうだった。
そもそも、KATOさんのスロットレスモーターにある強力な磁石が起因しているため、この磁力の問題はポイントなどに限ったことにならない。
色々とみたら、Twitterで「@strv」様が公開されている情報がとても参考になったので参考に解説してみたい。

複線区間など線路と線路が並行している場合でも磁石が緩衝する。
要するに、スロットレスモーターの車両と、スロットレスモーターの車両とで磁石が引き合うのだ。

並行線でのスロットレスモーター影響・@strv様の映像

上記映像の場合、隣の線路にあるモーター同士の磁力により、車両で停止してしまうことがわかる。
ただし、低速走行での実験のようなので、ある程度スピードが出ている場合にはそんなに影響はないか?
ただ、相模原鉄道模型クラブの運転会にて動画撮影していると、突然、走行している列車が遅くなったと思ったら、スビートが戻ると言うシーンを何度か経験しているので、この磁石の影響だったのかも?知れない。

次にまた「@strv」様が公開されている情報だが、間隔を狭くできるトミックス27.5mm間隔でのテスト映像は下記。

27.5mm間隔でのスロットレスモーター影響・@strv様の映像

上記の映像をご覧頂くと分かるが、通常のTOMIX複線間隔37mmではなく、高田の12線車両基地などの間隔を狭くしてよりリアルな車両基地に近づけた場合の状態(27.5mm)では衝撃の事実だとわかる。
もはや、TOMIXのポイントが誤作動などと言う領域の話ではなく、あきらかにKATOさん側のスロットレスモーターの問題と言って過言ではないだろう。

ちなみに、Nゲージ・KATOさんの複線間隔は33mm。
下記のように「@strv」様が公開なさっている33mm幅でも、超スロー走行だと磁力が干渉しているのがわかる。

KATO複線間隔(33mm)でのスロットレスモーター影響・@strv様の映像

上記の映像を見ると、通常のNゲージ・トミックス複線間隔(37mm)では影響が出にくいと言えよう。
なお「@strv」様もおっしゃっているように、車両本体のカバーを外した状態での実験の為、実際には車両カバーで若干磁力が弱まるため影響も少し変わるだろう。
しかし、個体差も当然あるため一概にこの車両は大丈夫、この車両はダメと言えないと推測する。

すなわち、スロットレスモーターの磁力問題は、車両側に対策が取られていない以上、もはや「お手上げ」と言ったところだ。
走行スピードが遅いほど影響を感じやすいと思うし、スピードが早ければ慣性で影響が少なかった(わからなかった)ともなり得るだろう。
しかし、発売されてしまっている以上は、使用する我々がスロットレスモーター車で走行させる場合の問題点を、しっかり自分で認識して走らせているかどうか?と言ったところか?


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もちろんゆっくり走行できるのに越したことはないのが、超スロー走行がどれだけ必要なのか?、需要があるのか?と言うところは疑問に感じる。
牽引力(トルク)は上がらないし、最高速度も上がらない。
ただし、スロットレスモーター車の走行音はムチャクチャ静かで、静音性はとても良いと言える。
しかし、静粛性だけでしたらコアレスモーター並みだろう。
まぁ、海外(外国)ではDCCが主流であるし、市場が狭い日本向けと言うよりは海外向けに製品開発したほうがよいので、メーカーは海外(DCC)重視とも言えるだろう。

一番の対策はスロットレスモーターの磁力が線路に伝わりにくくすること。
薄いブリキ板などを車両側のモーター底面に施すなどが最善の対策となるだろう。

ただし、個人的にはこの程度の状況を問題視すること自体がおかしいと・敏感すぎると感じる。
感じ方には当然個人差があるため、気にされる方を否定する訳ではないが、検証結果の通り、手動ポイント側の磁石を外して手動ポイントで対処すればぜんぜん問題ない。
本物ではなく「模型」(おもちゃ)を動かしていると言う事を自覚してお楽しみ頂きたいところだ。

大丈夫なポイント

100%大丈夫と補償する訳ではないが、旧タイプのポイント、昔の茶色の電動ポイントは影響を受けにくいところに磁石があるため、当方の実験では問題なくスロットレスモーターの車両も通過した。

旧タイプポイント

下記のような茶色のポイントも影響を受けにくい。

茶色のポイント

ポンイト側の機能補助部品(新発売)

上記では実証実験による対策法なども記載してきたが、その後、2022年12月15日?に、KATOから下記のような新製品(スロットレスモーター対策品)が発売された。
<注釈> 2022年12月19日現在、KATO通販からは商品情報が削除されている。(売れ切れ?)
<追記> 販売中止後、2023年1月頃に新発売と、12月21日に発表された。(価格は変更なしの予定)

KATO GKA0001 増磁シート 2枚入
定価1045円

製品説明
他社製のポイントユニット部の裏面に貼付することで、マグネットと電磁石の鉄芯との吸着力を補強します。

製品情報
KATOのスロットレスモーター搭載車両を下記の条件にてご使用される方は、こちらの機能補助部品で対策を行ってください。
1、ユニトラックと異なる構造を持つ他社製のポイントで、不都合が確認された場合 
2,片軸モーターなど車重の軽い製品を、アンカプラー線路上やユニトラムなど複線間隔が33mm以下の環境で走行させる場合

上記の増磁シートなる物を、TOMIXポイントの底に貼ることで改善が図れるようである。
まだ、試していないのでなんとも言えないが「厚さ」がどのくらにいあるのか?とても気になる所だ。

車両側の機能補助部品(新発売)

上記のポイント側の対策品が出て、一時販売中止となったあと、2022年12月21日に改めて正式に発表があった。
新しくは、強力な磁力を持つモーター側面に施して磁力を遮蔽する減磁板との事。

現時点で、減磁板の発売日・価格などは未定のため、急きょ対策品を考案したものと考えられる。

詳しくは下記のKATOさんから発表されたPDFを参照。

スロットレスモーターの特性と機能補助部品のご案内(2022年12月21日発表)

レンタルレイアウト店など、いつも走行させているのと異なる環境で走行する場合には、上記の対策品を組み込んでおきたいところだ。

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